59歳、酒を卒業したら知らない景色が見えてきた。
社長ブログ
三度目の断酒
10月7日、酒をやめた。
健康診断で何かを指摘されたわけでも、家族に叱られたわけでもない。ただ、なんとなく生活に変化が欲しかった。
またかよ!の声が聞こえるが(笑)、実は断酒は今回で3回目になる。
1回目は半年、2回目は9か月。結構頑張ったつもりだったけれど、結局どちらも酒飲みに戻ってしまった(笑)。
当時は、酒をやめている間もずっと飲みたかった。
料理自慢の温泉宿に泊まれば、豪華な御膳に地酒を合わせたい。美味しい肉料理には重厚な赤ワイン。希少なシングルモルトを見れば、どうしても味わってみたくなる。
我慢しているだけで、酒への思いは少しも消えていなかった。
だから、今回もそんなものだろうと思っていた。
ところが、どうも様子が違う。
飲みたいと思わない不思議
1か月が経とうとしているのに、飲みたいという欲求がない。
我慢しているわけではない。酒の味も、酔う感覚も、今は特に欲しくない。
なぜなのか、自分でも説明できない。
身体が以前から拒んでいたのか。脳が習慣に引っ張られていたのか。それとも、単に人生のステージが変わったのか。
理由はわからないけれど、今の自分には酒が必要ない。
過去2回の断酒とは決定的に違う感覚だ。
夜の繁華街に消えた男(笑)
先日、古くからの仲間たちと仙台で二日間を過ごした。
いつもなら前後不覚になるほど飲んでいた仲間たちとの会食だ。
今回はノンアルビールとウーロン茶。
ところが、これが実に楽しい。
美味しい料理を食べて、馬鹿話をして、笑って。
周囲が飲んでいることも、まったく気にならない。
二次会も終わり、みんなで店を出た。
「じゃあ、また明日!」
そう言って、僕だけホテルとは逆方向へ歩き出した。
翌朝、待ち合わせ場所に着くと、悪い仲間がニヤニヤしながら聞いてきた。
「菊池さん、あのあと一人でどんな店に行ったの?」
なるほど。長年の僕を知っている彼らには、そう見えたらしい(笑)。
「いや、今ね、1日8,000歩以上歩くことにしてるから、散歩だよ。繁華街を2周してきた(笑)」
すると、みんなが奇妙な生き物を見るような目で、ドン引きしていた。
どうやら、酔っ払って夜の街に消える僕のほうが、彼らには自然だったらしい(笑)。
でも、僕にとってはこれが新鮮だった。
夜の繁華街を、酔わずに、ただ歩く。
翌朝も二日酔いはなく、テイクアウトしたコーヒーを片手に気持ちよく街を歩ける。
酒を飲まなくなったことで、仲間との楽しみが減ったわけではない。
ただ、宴会の後に楽しむものが変わった。
それだけのことなのだ。
時間のコントロールボックス
酒をやめて、何が一番変わったのか。
健康面の変化もあるのだろうけれど、僕にとっては時間の感覚が大きい。
夜も、翌朝も、自分の意思で自由に使える。
酔って判断が鈍ることもなければ、二日酔いで半日を失うこともない。
まるでパワースーツを身につけたような、あるいは時間のコントロールボックスを手に入れたような。
我ながら変な例えだけど(笑)。
59歳になって、時間が有限であることを以前より意識するようになった。
だからこそ、できるだけ鮮明な意識で、日々を味わっていたい。
極端な話、明日世界が終わるとしても、今なら酒を飲まないと思う。
最後の瞬間まで、この目でこの世の終わりをしっかり見届けてやりたい(笑)。
そんな気分なのだ。
ご馳走の定義も変わった
以前は、美味しい料理と美味しい酒はセットだった。
今でも高級レストランや料理自慢の宿には興味があるし、食べ歩きも旅行も大好きだ。
でも最近は、炊き立てのご飯に味噌汁、コロッケとちょっとした小鉢があれば、十分幸せだと思える。
蕎麦前なしのざる蕎麦もいい。
刺激の強いものを求めなくなったのかもしれない。
枯れてきたのかな(笑)。
でも、これはこれで悪くない。
酒を飲む人生も、飲まない人生も
誤解されたくないのは、酒を飲む人を否定する気持ちはまったくないということ。
美味しい料理に酒を合わせる喜びも、仲間と酌み交わす楽しさも、僕自身よく知っている。
あの頃はあの頃で、間違いなく楽しかった。
人生にはいろんなステージがあって、その時々に価値観も変わる。
飲んで幸せな人もいれば、飲まないことで幸せを感じる人もいる。
どちらが偉いという話ではない。
僕は今、後者を選んだというだけのこと。
まだまだ知らない自分がいる
過去2回の経験があるから、これから先の自分がどうなるかまではわからない。
でも、現時点ではもう飲まなくていいと思っている。
断酒を頑張って続けるというより、自分の意思で酒を卒業した感覚に近い。
何かを失ったという寂しさはない。
むしろ、時間や感覚の自由を手に入れたような、不思議な充実感がある。
そして何より、今の自分は幸せだ。
59歳。
まだまだ知らない自分がいるし、知らない景色もたくさんある。
これからも、そんな景色を見に行こうと思う。
もちろん、素面でね(笑)。
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